レビュー (Amazon) 日独伊三国軍事同盟の締結に始まり、真珠湾奇襲による太平洋戦争開戦、ミッドウェイの敗北、レイテ島突入失敗のミステリー、そして戦艦大和の沖縄特攻と、日本海軍の興亡をパノラマ的に描きながら、その中で必死に生をまっとうしようとした人々の姿を群像劇として魅せきる戦争映画超大作。監督の松林宗恵は僧侶であり、また海軍出身者でもあり、そんな自身の映画キャリアの総決算として本作に取り組んだ。 声高に反戦を叫ぶことなく、仏教的無常感をもって戦争の空しさを訴える卓抜した演出。小林桂樹扮する山本五十六ら軍関係のドラマと、民間のドラマは別することなく同一線上のものとして語られ、戦争とは運命の流れではあれ責任はすべての者にあると厳しい断を下す。その中でずば抜けて素晴らしいのが、財津一郎と中井貴一(これがデビュー作)が繰り広げる親子のエピソードで、「親より先に死ぬ阿呆がどこにいる?」と嘆く父の台詞は、本作のテーマでもある。大和が海に沈むスペクタクルは言うまでもなく、しかしその後の無常の展開が松林監督初の戦争映画『人間魚雷回天』と相似していることから、改めて彼の覚悟を思い知らされる。谷村新司の歌う主題歌『群青』も画面と見事に融合。戦後日本の戦争映画を語る上で絶対に外せない傑作である。(的田也寸志) 関連グッズ |