出口のない海 (2006)原作:横山秀夫脚本:山田洋次、冨川元文 監督:佐々部清 出演:市川海老蔵 主題歌:「返信」竹内まりや(作詞・作曲・歌)、山下達郎(編曲) キャスト・スタッフ
市川海老蔵(十一代目)、伊勢谷友介、上野樹里、塩谷瞬、柏原収史、横山秀夫、迫本淳一、山田洋次、冨川元文、香川照之 レビュー (Amazon) 市川海老蔵が映画初出演にして主役を務め、歌舞伎界のスターがスクリーンでも映えることを証明した1作。第二次大戦が集結しようとしていた1945年、日本軍が最後の秘密兵器として開発した「回天」に乗り、敵艦に突っ込んでいった若き兵士たちの物語だ。直径1mの回天は1名が乗り込むスペースしかなく、映像からは内部の息苦しさや孤独感が伝わってくる。死を覚悟した兵士たちの悲壮感がその閉塞した空間と重なり、ここでも海老蔵の鋭い眼力が効果を上げることになる。 原作の横山秀夫と監督の佐々部清は『半落ち』のコンビだが、脚本に山田洋次が加わったせいか、キャラクターに親しみを感じさせる展開になった。この手の映画では、時としてしつこく描かれる家族や恋人との別れが、意外にサラリとしており、かえって感動的。そして主人公が甲子園の優勝投手だったという設定がスパイスとなっている。ボールやグローブが物語を彩る小道具として使われるほか、キャッチボールのシーンがじつに爽やかで、その分、戦争の虚しさが伝わってくるのだ。結末の受け入れ方も、観る人それぞれによって変わってくる作品である。(斉藤博昭) |